どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば。

売れない小説家の日記です。2年ぶりの再開です。

<売れないことはわかっているが……>

Kindle出版に関する本やYouTubeを見ると、「売れない」文字のオンパレード。たまたま『お金の教室』という本が半年で5万部というベストセラーになっているという成功体験記事を発見したが、この方の極めて希有な成功例でも、5万部に過ぎない。

出版社なら、13年前の僕の現役時代には、売れない作家でも初版1万部は刷ってくれた。すでに出版不況が言われて久しい状態だったが、その後病床で噂に聞くと、出版不況はさらに進み、作家の淘汰が激しく、筆を折った人間も少なからずいたようである。

しかしそれでも初版7~8000部は堅かった。

 

先輩作家で、ポルノ小説を書いている人たちも、〝エロ〟という核を持っていても苦戦しているという話も聞いた。

僕の場合も〝時代小説〟〝歴史小説〟という核があり、作家と称する人間すべてが書ける分野ではないという強みがあるが、これが果たして電子書籍というフィールドでも通用するかどうか、いささか心もとない。

しかもKindle本で扱っている時代小説は、僕が見た範囲では、すべて「出版社によって文庫化された物を、Amazon電子書籍の分だけ売っているのであって、僕のように「Kindle出版のための完全書き下ろし」がどの程度通用するのか、先例が無いから、まったく茫漠として推し量ることもできない。

だから僕は、「売れない」ことを前提に、

500部達成!

という目標を立てた。

これすら無謀な数字なのかも知れない。

ましてや5万部なんか遠い夢だろう。

しかしそれでも、13年という時間を失い、知り合いの編集者もことごとく定年退職、あるいはまったく編集とは関係の無い部署での嘱託、あるいは死去していなくなってしまった僕にとって、これは人生の再スタートであり、今後出版社巡りをして(あるいは電話1本入れて原稿を送信して読んでもらう)、編集者の人脈を再構築するためには、電子書籍といえども、

(文庫本1冊書ける人間なんだ)

という安心感を与えられる、いわば「名刺代わり」としてはとても重要な武器となると思うから必死になって作業しているのだ。

 

いずれシリーズが4~5冊となり、100人でも200人でも、

「この作家の書く物は面白い。信用できる」

というコアなファンを獲得していけば、次のシリーズ(すでに資料読みも2/3は終え、ストーリーも決まり、1巻目もラフだが書き始めている)でもそのコアな読者はついてきてくれるだろうし、ある日化けるかも知れないのである。

これは紙媒体でも同じ。ベストセラー作家の風野真知雄氏も、当初書き下ろし文庫が売れず、編集者が「もうこれはやめて、新しいシリーズに移りましょうか」と言い始めたところを必死に「あと1冊だけ」と頼み込んで、4冊目に爆発的ヒットとなり、初版10万部作家となったのである。つまり1冊書けば、800万円で、しかもちょこちょこ増刷がかかるという……

 

『お金の教室』のように、「時代小説」という漠然としたものではなく、身近な経済に特化した本にはかなわないかも知れないが、いずれ紙媒体に戻っていくにしても、電子書籍のなんたるかをわからずに生涯を終えるというのも、なんだか悔しいこともあり、紙媒体と電子媒体(とでも言えばいいのか?)の二刀流で行けることを、自分に証明したいのである。

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『お金の教室』成功体験談

https://note.com/hirotakai/n/n0dbf7038bc59#0UFfV

キモだけざっと読みたいという方はこちら。

https://note.com/hirotakai/n/n0e885559e4d6